腸内環境を整える方法
毎日を健康的に過ごしたくて運動をしたり自律神経を整える工夫をしているあなた。
それでも「風邪を引きやすい」「便秘がち」「疲れが取れない」「肌荒れがひどい」とお悩みだとしたら、それはもしかすると「腸が悲鳴」をあげているからなのかもしれません。
「えっ‥腸なんて消化吸収と排泄のために働いてるんじゃないの?」と思う人もいますよね。しかし腸はそれ以外にも大切な働きをしていて、実は健康と腸内環境とは密接に関わっているんです。
そこで「腸内環境を整える方法」が知りたいという人のために、まずは健康と腸内環境との関係から説明していきますね。
1.整えるべき「腸内環境」とは
私たちの腸内環境には「数100兆個もの腸内細菌」が住んでいます。
その種類は数百種に及びますがザックリ分けると「善玉菌・悪玉菌・中立菌」に分けられます。
「善玉菌」は消化吸収を助けて免疫力も上げ、体内の有害物質を倒して悪玉菌の増殖を抑える働きがあります。乳酸菌やビフィズス菌などの皆さんお馴染みの物もこちらです。
「悪玉菌」は有害物質を作り出して体の免疫力を下げるので、ガンなどの色々な病気のリスクを増やします。その一方で「体外から入ってきた病原菌を退治してくれる」頼もしい存在なのである程度は必要です。このうちの大腸菌などはあなたも食中毒の原因として耳にしたことがあるのではないでしょうか。
「中立菌」は日和見(ひよりみ)菌とも呼ばれ、善玉菌が優勢であれば良い働きをし、悪玉菌が優勢であれば悪い働きをします。つまりその時に強い方に味方する訳ですね。
この善玉菌と悪玉菌は常に「勢力争い」をしていますが、腸内環境が整っている時の理想的なバランスは「悪玉7:善玉3」と言われています。しかし現代人の乱れた食生活では「8:2」や「9:1」で悪玉が優勢の人が多く、こうなると中立菌も加勢して一緒に悪さをしてしまい「なんか体調がすぐれない‥」となってしまうので、以下に腸内環境を整える方法を記していきますね。
2.腸内環境を整えると変わる「腸の働き」
ではなぜ腸内環境を整えると良いことが多いと言われるのでしょうか。
その答えは【腸の働き】にあります。「消化吸収」や「排泄」はもちろん大切な働きですが、それだけではなく重要な役割を色々担ってくれているのです。
2-1.免疫の60%が腸で
私たちの体の中には「口から胃腸を通り肛門」へと続くトンネルが通っています。そのため腸には食べ物の他にも「細菌やウイルス」などの病原体が入ってくるんです。
この病原体の侵入を食い止めるのも腸の大事な役目。つまり腸は体内にありながらも、外界からの病原体と戦う「人体最大の免疫器官」ということです。
そしてカラダ全体の「約6割にも及ぶ免疫細胞」が腸内に存在しているので、腸内環境が整っていないと体調に支障を来たしがちになるのですね。
2-2.解毒
私たちは食べることで栄養を摂って生きていますが、実はそれと同時に毒素も摂っています。例えばレトルト食品や飲料に含まれる「食品添加物」や、野菜に付いた「残留農薬」に、魚や家畜にも「汚染物質」が蓄積している場合も‥。
毒素といっても別に今すぐ具合が悪くなるわけではありません。しかし毒素がうまく排泄できないと身体に蓄積していくことになり、身体の機能が狂い始めます。
その結果「アトピー」や「花粉症」などのアレルギー反応が強くなったり、「原因不明の不調・疲れ・痛み」が取れない原因の一つになると言われています。
このアレルギー反応とは、本来は無害な物質に対して「免疫システムが異常(過敏)な反応」をする事です。
体に有害物質が溜まっていると「何が有害なのか無害なのかが分からなくなってしまう」ので、その結果として皮膚や粘膜などに過敏な反応が出てくるのではないでしょうか‥。
肝臓でも血中の毒素を処理していますが、腸はこうした毒素を便として直接体外へ排泄する役割があります。これも腸内環境を整えるべき大きな理由の一つですね。
2-3.セロトニンの90%以上が腸内で
神経伝達物質であるセロトニン。「精神の安定・心が安らぐ」という効果があるので、最近は「幸せホルモン」としてメディアでも取り上げられてご存知の人も多いのではないでしょうか。
しかし実は体内の「セロトニンの90%以上」が腸で作られているんです。そして「脳でのセロトニン」は幸せホルモンとも呼ばれますが、この「腸でのセロトニン」は違った働きをするので注意が必要です。
腸は「第二の脳」と言われるほど繊細で「約1億個もの神経細胞」があります。「緊張したら下痢になる」という人がいるくらいですからね。
そして腸はストレスを感じるとセロトニンを分泌しますがこれが「腸を過敏」にします。すると未消化の食べ物まで排泄しようとして下痢になるのです。たまに耳にする「過敏性腸症候群(IBS)」の原因の一つと言われるのがこの腸でのセロトニンなんですね。
また「うつ」をはじめとする精神疾患にも「腸内環境や自律神経」が大きく関与しているとも言われるので、精神的な落ち込みやイライラに対しても腸内環境を整えた方が良さそうですね。
3.腸内環境は便の量で分かる!?
腸内環境を計る一つの目安として一日に出る「ウンチの量」を意識してみてください。
なぜなら便の半分は「腸内細菌の死骸」だからです。もちろん食べた食物繊維の多さも関係しますが、食物繊維も善玉菌を増やす事に繋がるので基本「ウンチが多い」ほど素晴らしいという事です‥。
「便の量が少ない=腸内細菌の数が少ない=腸の働きが弱い」という事ですね。
現代人は一日に200g(テニスボール程)と言われていますが、戦前の日本人は400gだったそうなので、いかに昔の人の腸内環境が整っていたかが想像できますね。
ちなみに戦前は「ガン」も今よりもずっと少なく「アトピー」や「アレルギー」も稀なものだったといいます。こう見ると「腸内環境や食事」が体調に与える影響の大きさを計り知ることができるはずです。
4.腸内環境を整える方法
4-1.肉やジャンクを減らす
健康的な食事を意識している人は別として、現代の多くの人は「肉食・レトルト・ジャンクフード」などを口にする機会が多いですよね。
しかしこうした「悪玉菌のエサ」になるものを減らす事が腸内環境を整える方法の第一歩です。そして欧米化してしまった食卓から、お母さんやお婆ちゃんが作ってくれていたような「日本食」に少しずつ近づけていきましょう。⇒「一汁三菜とは/4つの基本からその意味まで」
そうすると自然と「食物繊維・発酵食品」を多く摂ることになります。これらは「善玉菌の好物」でありまた「善玉菌自体」も沢山含まれているので「腸内環境を整える」ための一番の近道です。⇒「健康に良い発酵食品/その種類と3つの効果」
4-2.適度な運動
「運動」と「腸内環境を整える方法」は密接に関係しています。なぜなら運動不足になると身体の動きが減り、身体の中にある「腸の位置」も全く動かないので、食べ物を奥へと送る「腸のぜん動運動」も弱まります。
また腹筋などのインナーマッスルが弱まることも腸のぜん動運動低下に繋がります。
こうして運動不足から便秘になりやすく、溜まった排泄物が腸内環境を悪くします。
とはいえ強すぎる運動は交感神経を優位にして腸が働かなくなるので、軽い運動の方がおすすめです。⇒「ジョギングよりも朝ウォーキング/自律神経も整う3つの効果」
4-3.自律神経を整える(ストレスを減らす)
「自律神経を整える」と「ストレスを溜めない身体にする」とは同じ意味と思って下さい。なぜならストレスが自律神経を乱れさせ、また逆に自律神経が整うとストレスにも強くなるから。
そして自律神経は「腸の働き」はもちろん「他の内臓・血流・体温・睡眠」など様々な機能をコントロールしてくれています。
この自律神経が整うと腸の働きが良くなるので「腸内環境」にとっても良い状態になるのは言うまでもありませんね。つまり自律神経を整える事が、腸内環境を整える方法になるという事ですね。⇒「自律神経を整える/体質改善のための12の方法」
4-4.整体で腸内環境を整える
上記の方法で腸内環境を整えられればそれに越したことはありません。しかしそれでもダメな場合は上手な整体院に掛かる事が腸内環境を整える方法になるかもしれません。
なぜなら腸が納まっている「骨盤や全身」が歪んでいる場合、腸は「歪んだ場所」にずっと納められている事になりますよね。これでは居心地がいい訳がありません。
あなたも「車中泊では体が休まらない」と思いませんか?
腸も同じで歪んだ身体に納まっているとストレスを感じて働きが悪くなり、腸内環境にも悪影響なのです。
当整体に「痛みやケガ」を訴えてくる人でも、何度か施術をした後に体調の変化を伺うと「最近お腹の調子が良いの」「ずっと便秘だったのに、嘘みたいに快便」と不思議がられる事が沢山あります。
もちろん整体だけで腸内環境が良くなるとは言いませんが、食事や自律神経にも気を使ったうえで更に腸内環境を良くしたい、体調を良くしたいとお考えの人は整体を頼ってみるのも一つも方法です。
とはいえその整体院によって技術もピンキリです‥。もし行かれる場合はよくよく見極めて下さいね。
5.腸内環境を整える方法まとめ
ここまでお読みになられた人はある程度は腸内環境について理解し、また整える方法も分かったはずです。
もしかすると「面倒くさいな」と思われた人もいるかもしれませんね。
そんな人は手軽に始められる「サプリメント」に頼ってみるのも一つの方法です。しかしずっとサプリに頼っていては長い目でみて本当に腸内環境が整ったとは言えませんよね‥。
やはり栄養や生きた細菌は「食物」から摂るのが一番ですので、一度原点に返るという意味でも食事そのものも見つめ直してみてはいかがでしょうか。⇒「食事と健康の関係/美容や長生きにも繋がる7つのススメ」
※本稿は私見であり医学的根拠を保証するではありませんので、情報活用は自己責任にてお願い致します。