「疲れたら取りあえずマッサージしておこう」これはもう日本人のDNAにまで刷り込まれているんじゃないでしょうか。シンスプリントの場合も病院では「使い過ぎですね~」と言われるだけで何もしてもらえないので、「使い過ぎならマッサージで緩めれば良いのかな」と考える人が多いと思います。
しかしいざマッサージをしてみても全然良くならない‥。また練習を休んでも、競技再開するとまた痛みだす‥。あなたもそんな悩みを抱えながらも、それでも治したい気持ちがあるからこそこのページに辿り着いたはずです。
シンスプリントに対して「筋肉を緩める」という考え方は正解ですが、そのマッサージのやり方に注意が必要だったんです。その意識しだいでは悪化をまねく事もあるので、ここではその注意点や効果的にマッサージする方法までご紹介していきます。
1.「強いマッサージが効く」ではシンスプリント悪化を招く
1-1.マッサージは痛いくらいにという考えは大間違い!
「痛いけど我慢してくださいね~、良くなりますから!」
これは私が以前に競技をしていた頃マッサージを受けに行くとよく言われた言葉です。確かにその場は効いているような気になるのですが、しばらくすると「疑問と後悔」が頭をよぎったものです。
なぜなら強いマッサージを受けるとだいたい決まって「身体が重くなった」から。今だから解りますがこれは強い刺激によって筋肉がダメージを負っていたからなんです。
もちろん全国にいくつか信頼していた治療院があり、ゴッドハンドと言われるようなその先生達に治療してもらうとカラダは驚くほど楽になり、痛みも激減するんです。するんですが、いかんせん遠いのでなかなか行けず、それでも何とかとしたいと思ってマッサージに行っては後悔する。自分の学習能力を疑いますが、それでも「効く気がするから、もしかして‥」と頭の片隅に小さな希望を抱えていたんです。
あなたもそんな一人ではないでしょうか?
しかし「競技のプロ」として色んな治療を受けたうえで「身体を改善するプロ」になった今だからこそ言える事があります。
それは『筋肉に対して強い刺激は逆効果』という事です。
その理由は次に説明していきます。
1-2.強いマッサージによって起こるカラダの変化
マッサージを職業としている人ならばお気づきだと思いますが、マッサージを受け続けた人の筋肉はガチガチになっていて、少し押したくらいではビクともしない人が多いはず‥。
こうなると少し押したくらいでは何も感じないから、負けじとさらに強く押す。こんな繰り返しでは永遠に筋肉は緩まらず、どんどん硬い筋肉になってしまいます。
なぜなら私たちの身体は「外からの強い刺激に対して身を守る」という本能があります。強い刺激に対抗するためには、それに負けないくらい硬くなろうとするのです。
例えば「骨化性筋炎」という疾患があって、これは筋肉に強い刺激が加わることで炎症を起こし、一部が石灰化(骨化)してしまうものです。これは一度の打撲によっても発生しますが、患部への強いマッサージの繰り返しによっても起こります。
骨化性筋炎は極端な例として挙げましたが、身体にできるタコなどもそうです。
つまり強いマッサージは頭では「効いている」と感じるかもしれませんが、実際に筋肉は微細なダメージを負います。するとカラダは「攻撃された」と感じて身を守ろうとした結果硬くなるのです。
このような身体のメカニズムがある事が、強いマッサージがシンスプリントに対して逆効果になる理由です。
2.シンスプリントに対して効果的なマッサージ方法
2-1.シンスプリントにマッサージをする意味
シンスプリントとは脛骨(すねの骨)の骨膜が炎症を起こした状態です。これはすね付近の筋肉に負担が掛かり過ぎて硬くなって縮み、その状態で運動を繰り返す事で筋肉の付着部である骨膜(表面の膜)が引っ張られるから起きる障害です。
という事は筋肉が柔らかくなれば骨膜に掛かる負担が減るので、痛みも楽になるはずです。
先ほど説明したような荒いマッサージでは余計に筋肉を硬くしてシンスプリントを長引かせてしまいますが、効果的なマッサージは筋肉をゆるめて血流を良くして痛みを和らげてくれます。
2-2.赤ちゃんに触れるように
皆さん赤ちゃんに触れる時は「壊れものを扱うように」大事に触りますよね?
少し大げさかも知れませんが、自分の身体にもそんな強さで触れてあげてください。
防御反応でガチガチに硬くなった身体や、炎症を起こした部位周辺は、強い刺激では柔らかくなりません。しかしそれが安心できる心地良いものだと感じるとカラダは緊張を解きます。
はじめは物足りないかもしれませんし、もちろん1回で柔らかくはなりませんが、外から守る必要の無くなった筋肉は徐々に柔らかく変質していきます。
今までのマッサージのやり方を「外からの力で押し潰す」のではなく「血流を良くして中から緩める」というイメージで行って下さいね。
2-3.オイルで表面を流すように
マッサージオイルがあればそれを塗り、スネの内側に沿って撫でるくらいの感覚でマッサージしてください。それでも実際には筋肉にも軽い圧が掛かり、血行が良くなるので筋肉が緩みます。
2-4.痛い箇所は押さない
痛みとは、身体からの「もう限界ですよ」というサインです。そんな箇所に対して、先に述べたように強い刺激はNGです。
実際にはある程度の刺激が必要なトリガーポイントなどもありますが、それでもゴリゴリするだけでは逆効果です。そんな部分はプロに任せるの方が賢明です。
2-5.長時間触れるのは禁止
マッサージ屋さんに行ったことのある人は経験があると思いますが、「スッキリしたような爽快感」とは別に「身体がダルイような倦怠感」も覚えたはずです。
それくらい外からの刺激はカラダの負担になるのです。痛めた組織を回復したいのに、カラダが疲れてエネルギー不足になると、その修復作業も上手くいきません。
マッサージに対してカラダがお腹一杯を超えないようにして下さい。一度にやり過ぎるよりも、毎日優しくケアを続ける方が後々に良い結果に繋がるでしょう。
3.マッサージだけに頼らない/シンスプリント根本改善
3-1.マッサージ以外にもやり方を変えてみる
今まで治療やセルフケアを頑張ってきたのに全然改善される気配がない人は、そもそもの治療方法が間違っているのかも知れません。
それを続けてもずっと同じ結果になる可能性が高いのでマッサージの方法はもちろん、それ以外の対策も改める事をおすすめします。
3-2.原因を知ることから始める
シンスプリントにも必ず原因があります。そこにばかり負担が掛かってしまう状態にカラダがなってしまっているのです。
もう長い事痛みに悩んできた人もいるでしょうし、大事な試合を目の前にして突然痛くなった人もいるでしょう。しかし安心してください、原因を知りそれを改善すればシンスプリントは良くなります。
「シンスプリント『本当の原因』は2つ」を読んで、あなたが思い切りスポーツに打ち込めるようになる事を願っています。
※当記事はあくまでも私見ですので自己責任にてお願い致します。まずは病院を受診することをお勧めします。