シンスプリント/疲労骨折
陸上選手はもちろんですが、他競技でも走ったりジャンプを繰り返す人が痛めやすい部分に「脛(すね)」があります。そしてスポーツ選手にはシンスプリントという言葉がだいぶ一般的になってきたので、すねが痛くなると「取りあえずシンスプリントかな‥」となりがちですよね。
しかしスネの痛みの場合に気を付けて頂きたいのが「疲労骨折」です(※全身の疲労骨折の内で一番多いのがスネ)。
シンスプリントの場合も長引くケースが多々ありますが、それでも骨膜(脛の骨をおおう膜)の炎症です。それに比べ疲労骨折は脛の骨自体にヒビ等の損傷がみられるので、さらに慎重に対応しなくてはいけません。
とは言えシンスプリントでも酷くなれば歩くだけで激痛が走る程になりますし、疲労骨折といっても割と短期間で治るケースもあります。どちらにせよやみくもに心配するだけではなく、しっかりと対応すれば良くなって場合が多いので安心してくださいね。
もちろん骨折の心配があれば病院に行って検査をしてもらわなければいけませんが、ここではその疲労骨折とシンスプリントを見分ける簡単なポイントや、その原因と対策についても紹介していくのでぜひ参考にしてみて下さい。
1.シンスプリントと疲労骨折の見分け方
1-1.症状の違い
・シンスプリント
シンスプリントは脛の内側に痛みを感じることが多いですが、痛んでいるのは筋肉や、その筋肉の付着部である骨膜です。触れてみて痛みを感じるのは脛の骨自体というよりも、その少し内側だったり、骨の後ろ側だったりする事が多いはずです。またピンポイントでここだけ痛いという感じではなく、その辺りが広く痛んだりもします。
・疲労骨折
疲労骨折の特徴は逆で「触れるとピンポイントで痛む箇所」があります。この辺が痛いという感じではなく、押すとここだけが極端に痛いというイメージです。そしてそれは脛骨の付近ではなくて骨自体にです。
1-2.病院でMRI検査を
先ほど説明したのは一般的に言われている事なので多くの人には当てはまりますが、人によっては例外もありますし、また痛みの感覚も人それぞれです。骨折の心配が拭えない場合は病院で検査をするのがやはり確実です。
ただし痛みが出てから間もない場合は、MRI検査のできる医療機関を受診する事をおすすめします。なぜなら初期の疲労骨折はレントゲンでは判別しにくいからです。
疲労骨折とは繰り返し負担が掛かる事によって「骨にヒビ等の微細な損傷」が生じてしまう事ですが、バキッと折れるような骨折と違い、薄いヒビくらいではレントゲンに写りにくいのです。※しばらく経った場合は、修復過程で固まってきた骨がレントゲンにも色濃く写るので判別できるようになります(約2~3週間後)。
ところがMRIでは微細損傷も判別できるので、痛めてから日が浅い場合はMRI検査ができる病院に行ったほうが確実と言えますね。
2.疲労骨折とシンスプリントの共通点/原因と対策
病院で検査をしてもらい疲労骨折と言われたら、お医者さんの指示に従って安静にするのが一番です。
ただし「疲労骨折」というくらいなので、すねに負担が掛かり過ぎたために発生した骨折ですよね。同じようにきつい練習をしていても全然元気な人もいるはずなのに、あなただけが疲労骨折してしまうのは何か原因があるはずです。
安静にしていて骨折が治ったとしても、その原因が残っている限りはまた同じ負担が掛かるでしょう。実はこれが疲労骨折を再発してしまうメカニズムなんです。
シンスプリントは筋肉の付着部である骨膜の損傷で、疲労骨折はスネの骨自体の損傷ですが、どちらにも共通しているのは「すね付近に負担が掛かり過ぎた」せいで発生したものである事。
つまり痛めてしまった箇所は少し違えど、どちらも同じような原因があるという訳です。
こちらの「シンスプリント『本当の原因』は2つ」にその原因が書いてあります。その一つである「筋肉の硬さ」については疲労骨折に直接作用する訳ではないですが、筋肉の硬さは血流を悪くするので間接的には悪影響を及ぼします。(※血液によって組織に栄養が届くので、血流が滞ると骨折の治りが悪くなります)
疲労骨折であった場合もただ安静にして待つだけでなく、全身のバランスを良くしたり、歪みを整えたりなど「積極的に治す意識」を持つことで治癒期間やその後の競技パフォーマンスにも関わってきます。
ぜひあなたも負担の掛かりにくい身体にして、思いっきりできる競技生活を送って下さいね。
※当記事はあくまでも私見ですので、情報の活用は自己責任にてお願い致します。また痛みや不安を感じた時はまず病院で検査してもらうことをお勧めします。