アキレス腱周囲炎の原因と治療
なかなか治らないアキレス腱周囲炎にお困りの人は多いですが、あなたもそんな悩みを抱える一人なのではないでしょうか。
この記事では「そもそも周囲炎とは?」という疑問から「周囲炎の原因」まで解説した後に「4つの治療方法」までご紹介していくので、あなたの不安も解消されるはずですよ。
1.アキレス腱周囲炎って何?
1-1.アキレス腱とは
そもそも「腱」とは「筋肉と骨をつなぐ部分」です。ほとんどの筋肉の両端は骨に付着していて、この「筋肉の端っこ」が腱という訳ですね。
そしてアキレス腱とは「ふくらはぎの筋肉」と「かかとの骨」を結ぶ腱で、人体の中で最大最強の腱なんです。
ところがアキレス腱の中には血管が少なく、血液からの栄養が乏しい部分。これが一旦炎症を起こすと中々治りにくい要因の一つです。
また瞬間的に大きな負荷が掛かり損傷しやすい部分でもあるので「強者の急所」を指す言葉としても用いられますね。
1-2.アキレス腱「周囲炎」とは
アキレス腱の周囲は「パラテノン」という薄い膜でおおわれていて、この部分の炎症をアキレス腱周囲炎と言います。
ただしこの「アキレス腱周囲炎」と「アキレス腱自体の炎症」を厳密に区別することは難しく、両方同時に発症している場合もあります。
つまりこの2つは別物ではなく、ほぼ同じものとして考えられるという事ですね。
2.アキレス腱周囲炎の原因
アキレス腱周囲炎は中年以降に多いことから分かるように、加齢によって脆くなることも炎症の一つの要因です。
しかし若い人でも発症し、まれに子供でもアキレス腱周囲炎になります。つまりアキレス腱周囲の脆さだけが原因なのではなく、そこに負担を掛けやすいカラダになってしまっている事が大きな原因です。
ここではそんなアキレス腱周囲炎に当てはまる原因を4つの視点から解説していきますね。
2-1.ふくらはぎの筋肉
先ほど説明したようにふくらはぎの筋肉と踵の骨を繋いでいるのがアキレス腱で、硬いゴムのような性質と働きをしています。
そして肩こりや腰痛でご存知のように筋肉は疲れると硬く縮み、筋肉と腱は繋がっているので筋肉が縮むと腱は引っ張られますよね。
つまりふくらはぎが硬くなるとアキレス腱やその周囲は引っ張られるという事です。これが慢性的に続くと「アキレス腱周囲」も常に張った状態で衝撃に耐えなければならないのでそのストレスは相当のものになるはずです。
この負担が臨界点に達した時に「もう限界だ」というメッセージ(炎症)が体から発せられるのです。
そして血流が老廃物や発痛物質を流して栄養を運んでくれますが、血管は筋肉の中を通っています。つまりふくらはぎの筋肉が硬くなるとアキレス腱周囲も「血行不良」に陥って修復が遅れ、治りが悪くなります。
2-2.骨格の歪み
この「歪み」は自分では分かりにくいですが、アキレス腱周囲炎の原因になってしまいます。
人間は長い進化の果てに「骨格」が本来の位置にある時は効率的にカラダを支えられるようになっています。これが「普段の癖・仕事中の体勢・競技特性」などの繰り返しで歪んでしまうと必ずどこかに「ひずみ」が生まれます。
そして体幹やお尻などの大きな筋肉を正しく使えなくなるので、その分が末端のアキレス腱周囲にも掛かってくるのです。つまりこの「歪み」も治療すべきアキレス腱周囲炎の原因という事なんです。
2-3.フォーム(姿勢)
普段の姿勢や競技フォームに問題があるとアキレス腱周囲炎の原因になります。その問題とは「骨盤が後傾」していることです。
試しに立った状態で、股関節を後ろに引き込むように少しお尻を後ろに突き出して下さい。自然と膝も軽く曲がりますよね。この状態で何度かジャンプをしてみてアキレス腱周囲炎の傷みを感じて下さい。※けっして無理はしないで。
次は立った状態で腰を丸めましょう(股をのぞき込むようにすると腰が丸まるはず)。腰を丸めたままで何度かジャンプするとアキレス腱周囲炎に先ほどよりも強い負担が掛かるのが分かるはずです。※無理は禁物です。
ここまで極端ではありませんが、アキレス腱周囲炎の人はこの「腰が丸まった状態」でランニングや日常生活を送っていう場合が多く見られます。もちろんわずかに丸まっているだけの人もいますが、そのわずかな差が一歩一歩積み重なると大きな負担となりアキレス腱周囲炎へと繋がるので、治療にはこのフォーム(姿勢)の改善も欠かせないでしょう。
2-4.重心が前のめり
立った状態から腰を後ろに引かないようにして顔を前に出してみましょう。すると前のめりになってつま先に重心が乗り、ふくらはぎやアキレス腱に力が入るのが分かりますよね。
アキレス腱周囲炎の人は上記の原因も重なる事でバランスが崩れ、一歩一歩のタイミングで「前のめり重心」になる事が多いと考えられます。その為アキレス腱の周囲に負担が掛かって炎症を引き起こすのです。
3.アキレス腱周囲炎の治療
3-1.マッサージ
マッサージと言ってもリラクゼーション屋さんが行うような強い刺激は筋肉を微細損傷するおそれもあり、アキレス腱周囲炎を生じている人にはおすすめできません。
それよりも「優しくマッサージ」することが治療に繋がるので、ふくらはぎ全体の血液やリンパを流すようにマッサージしましょう。
それでも物足りなければアキレス腱とふくらはぎの「境目」を緩めます。筋肉の盛り上がりの下端部辺りですね。親指(手の平でもOK)で軽く押さえたまま足首をグルングルンと数十秒回して下さい。
また足首を両手でギュッと握り、そのままつま先をグルグル回るとアキレス腱の周囲が全体に緩みます。
3-2.ストレッチ
アキレス腱周囲炎におすすめのストレッチ方法は「アキレス腱ストレッチ/効果的な4つの方法」に書いてありますが、ストレッチを行うのは一旦マッサージで筋肉を緩めてからの方が良いかもしれません。
なぜならふくらはぎが硬いままだとその時点でアキレス腱は引っ張られているので、さらにストレッチを加えると負担になる恐れがあるからです。
そして全身は筋膜で繋がっているので、ふくらはぎだけをストレッチすればいい訳ではなく、他の部分を緩める事でも治療効果がUPします。その方法も先ほどの記事にて紹介してあるのでどうぞ。
3-3.テーピング
アキレス腱周囲炎にはテーピングも治療効果があります。テーピングを適切に貼ると筋肉の働きを助けてくれ、血流UPで回復も助けてくれるから。
ただし強く固定するような巻き方を続けると逆効果になるおそれもあるので「アキレス腱炎にテーピング/簡単で効果的なたった1つの方法」にて確認してみて下さいね。
3-4.サポーター
サポーターは痛みを軽減してくれる効果もあるので大事な試合前などは助けになる事でしょう。しかし常用すると筋力低下を招いてしまい、その結果アキレス腱周囲炎の悪化に繋がるケースも考えられます。
詳しくは「アキレス腱炎サポーター/3つの効果と知っておくべきデメリット」をどうぞ。
3-5.整体
これをお読みの人の中にはすでに自分で色々治療をしている人もいて、それでもなかなかアキレス腱周囲炎が治らないとお悩みの人もいますよね。
もちろんその自己流治療が正しくないから治らなかった場合は、ここで紹介してある治療方法を試す事で良くなる事でしょう。しかし歪みが強いなど「原因が根深い場合」はなかなか自分だけの努力では治りません。
そんな時に一番頼りになるのは「身体のプロ」である整体院かもしれませんね。
とはいえ整体も溢れるほど乱立していてどこに行けば良いのか分からないという人も多いはず‥。そこで当整体が実際にどのようにして多くのアキレス腱炎・周囲炎を改善してきたかを「アキレス腱炎に整体が効く理由/4つのアプローチ」にご紹介しておくので、あなたが整体院を選ぶ時の参考にしてみてはいかがでしょうか。
※本稿は私見であり医学的根拠を保証するものではありませんので、情報活用は自己責任にてお願い致します。