オスグッドのストレッチ
成長期の子供に見られるオスグッドですが、その痛みの正体は「太ももの筋肉の硬さ」にあり、ストレッチを行う事で筋肉が緩めばその痛みも和らぎます。ここでは効果的にストレッチを行うために「知っておく事」から「ストレッチ方法」や「根本からの改善とは」までお伝えしていくので参考にしてみて下さいね。
1.ストレッチの為に「原因」を知ろう
1-1.オスグッドの痛みは「筋肉の硬さ」から
オスグッドを改善するためにストレッチしますが、まずはそのために「オスグッドとはどういう状態なのか」「何故オスグッドになってしまったのか」を知っておく事が大事です。
詳しくは「オスグッドの原因」のページに記してあるのでこの記事の最後にご紹介しますね。
まずオスグッドとは「膝のお皿の下」の骨が痛むもので、一般的には成長痛だと言われています。しかし成長期にスポーツをする子全員がなる訳ではなく、オスグッドになる子の特徴として「太ももの筋肉の硬さ」が挙げられます。
太ももの筋肉は膝のお皿を乗り越えて、その下(すねの一番上)の骨に付着しています。この筋肉が硬くなって縮むと、動く度に付着部がギュッギュッと強く引っ張られ、そのため炎症を起こして痛みが現れてくるのです。
1-2.筋肉を硬くする要素こそ「本当の原因」
そしてこの「筋肉を硬くする4つの要素」こそがオスグッドの本当の原因です。
ここで主な原因を挙げると、「姿勢不良(骨盤後傾)」と「カラダの歪み」です。この二つがあるお子さんは体幹(お尻やお腹の深層筋)がうまく働かなくなり、その分まで太ももの筋肉が頑張ってカラダの動かさなければいけません。
また姿勢が悪く(腰が丸く)なると膝が前に出てしまい、膝への荷重が倍増します。あなたも背中から腰を丸くしたまま膝を屈伸してみると分かるはずです。
こうしてハッキリとした原因があるからこそ、なるべくしてオスグッドになってしまうのです。反対に原因を抱えていない子は同じ練習をしていてもオスグッドにはならないですし、原因のある子もきちんと原因さえ改善すればオスグッドは良くなっていくのです。
2.オスグッドへの「2つのストレッチ効果」
ストレッチでは残念ながらカラダの歪みを改善する事はできません。しかしオスグッドの痛みの元である「筋肉の硬さ」に対して有効なので、ストレッチを続けることで痛みも和らいでいきます。ここではその効果と注意を簡単に解説しますね。
2-1.筋肉が緩む
まずはあなたもイメージしていた通り、ストレッチの効果は「筋肉が緩む」ことです。ストレッチを続けると筋肉が柔らかくなってくるので痛みの元である「筋肉の硬さ」が解消されてきます。
また色々なストレッチを組み合わせる事で関節が柔らかくなります。膝に負担の掛かる姿勢・フォームを見直す時にも「関節や筋肉の硬さ」という邪魔が少なくなります。
2-2.血流アップ
人間のカラダは食べた物の栄養から出来ていますが、この栄養は消化吸収されたあと血流によって身体の隅々まで届けられます。そしてその通り道である血管は筋肉の中を通っているので、その筋肉が硬くなると血流も滞り、その結果栄養が届きにくくなります。
逆に言えば血流が良くなれば溜まった老廃物も流れる上に、傷んだ細胞を治すための栄養がどんどん運ばれてくるのです。
つまりストレッチの効果として血流が良くなると「疲れも取れやすくなり、オスグッドの回復も早くなる」という事ですね。
2-3.伸ばし過ぎは逆効果
おそらく多くの人が「グイグイ伸ばす」という事をやりがちですよね‥。あなたも自己流ストレッチでは、気持ち良いのを通り越して少し痛みやキツイ感じが出るまで伸ばしていませんか?
「伸ばせば伸ばすほど効果があるのでは」という気持ちは分かりますが、これではせっかくのストレッチが逆効果になっているおそれがあります。
筋肉を伸ばし過ぎると「筋細胞や毛細血管」が微細にですが切れて損傷します。すると身体の防御反応として「痛めた箇所はより固く修復」して刺激から守ろうとします。
これを繰り返すと少しずつ「硬い筋肉・弾力のない筋肉」になってしまうのです。
ストレッチをする上で気を付けるのは次の2点。
- 「深い呼吸」をしながら行うこと
- 「心地良い」と感じるくらいでストップすること
この二つを意識して行うことで筋肉が緩み、血流が良くなり、結果オスグッド改善に繋がるのです。
3.オスグッド対策4つのストレッチ
3-1.足首ストレッチ
足首が硬いと必ず膝に負担の掛かる動きになるので、まずは足首を柔らかくするストレッチで膝への負担を減らしましょう。
- 正座をする(膝が痛ければ膝立ちでもOK)
- 片方の膝を立てる(足裏を床に着く)
- 膝を立てた方の足裏をできるだけ身体の近くに引き寄せる
- 太ももや膝に体重を掛けるように胸で押す(軽めに)
やんわり伸びるくらいに数秒ストレッチしてから緩め、何セットか繰り返して下さい。必ず心地良いくらいで止めて、ゆったりと深い呼吸をしながら行いましょう。
また足首周りを緩める方法をもう一つ紹介します。
- イスに腰掛けてから片方の足首をもう一方の膝の上に乗せる(足を組んだ状態)
- 足首の上(アキレス腱辺り)を両手で握る
- 手は握ったまま、つま先をグルグル回すように動かす(大きく弧を描くように)
- これを内回り外回り15回ずつ程度行う
これで足首周辺の筋肉や腱をまとめてストレッしたような効果を得られます。
3-2.骨盤ストレッチ
オスグッドの元になる「太ももの筋肉」は骨盤からも付着しているので、骨盤が柔らかく動くようになれば太ももの筋肉も緩みます。また骨盤の角度やポジションによって膝への負担が大きく変わるのでしっかりストレッチしましょう。
- イスに浅く腰掛ける
- 自分で股をのぞき込むように背中から腰を丸くする
- 反対に反るように腰から背中を反らす
これを息を吐きながら腰を丸めていき、吸いながら腰を反らすのですが、必ずゆったりと深い呼吸に合わせて行ってください。
この時に気を付けるのは必ず「骨盤から動き出す」というイメージで行う事です。背中を丸める時はまず骨盤が丸くなり、その上に乗っかる背骨もつられて丸くなる。反る動きはまず骨盤が反ってから背骨がつられて反っていくという感じです。
これはストレッチというよりエクササイズに近いかもしれませんが、この動きによって今まで丸く固まっていた腰(骨盤)が動くようになり、競技中のフォームでも骨盤を立てる事を意識しやすくなります。
3-3.太もも変則ストレッチ
これは直接太ももの筋肉を触って緩めるストレッチです。
- イスに座る、もしくは床に座って膝を伸ばす
- 手の平を太ももの上に置く
- その手を左右に大きく揺らして「太ももの筋肉」を左右に揺らす
これをゆったりと1分くらい続けてください。すると筋繊維が緩んでくるはずです。
また筋肉全体を捻じる事でも緩みます。
- 太ももを両手の平で挟んでつかむ
- そのままどちらかに捻じって5秒キープ
これを左右両方に捻じり、場所を変えて3カ所(膝近く・太ももの中間・股関節近く)で行いましょう。
3-4.正座
正座をすると太ももに軽くストレッチが掛かるのですが、オスグッドになる子が増えているのは「正座をしない生活」になった事と無関係ではありません。それだけでオスグッドが良くなる訳ではありませんが、予防の意味でも毎日少しの正座を心掛けると良いでしょう。その時の注意点は次の2つです。
- 足の親指を重ねない
- 背中を丸めないで腰を立てる
この二つを注意しながらただ数分間正座しているだけで、太ももの前にやんわりとストレッチが掛かります。
もちろんオスグッドの痛みで正座ができない子もいますので、その場合はまずお風呂の中で行うなど痛みのないところから少しずつ始めていきましょう。時間も1分からでも良いので、慣れてきたら少しずつ増やして下さい。
また正座が平気になったら応用編として、そのまま正座の姿勢から「3-2骨盤ストレッチ」の要領で腰を丸めたり反らしたりするとより効果的です。
4.ストレッチ以外のオスグッド改善方法
「オスグッドの原因/病院では教えてくれない4つの要素」をご覧になると、オスグッド改善のために何が必要なのかが分かるはずです。
ストレッチはきちんと行えば効果的なのは確かですが、それ一つでオスグッドを根本改善できる訳ではないという事を忘れないで下さい。あくまでも自分で行えるケアの一つとして考え、他にもできる事を取り入れながら総合的に治療していきましょう。効果的なテーピングの貼り方と注意点はこちら「オスグッドに効くテーピング/これだけで効果的な2つの方法」
そして楽になった後も予防の意識を持つことが大事になってくるので「オスグッド予防/普段から取り組むべき3つのこと」を確認してみて下さい。
また自分でケアを続けてもどうしても痛みの取れないオスグッドもあります。そんな子は「姿勢やカラダの歪み」から改善していけなければならないので、整体や治療院などのプロに任せる事をおすすめします。
当整体では根本改善によって多くのオスグッドが早期改善しておりますが、あなたの近くにも信頼できる技術を持ったプロがいるはずですので、沢山ある治療院の中からきちんとした先生を探し、あなたのお子さんが膝の痛みに苦しむ事なくスポーツに打ち込めるように手を尽くしてあげて下さいね。
どのようにして多くのオスグッドを改善してきたかを「オスグッド改善5つの方法/プロの本音とは」に記しておくので、あなたの治療院探しのヒントにして下さい。
※当記事は私見であり医学的根拠を保証するものではないので、情報活用はあくまでも自己責任でお願い致します。またオスグッドが疑われる場合にはまず医療機関の受診をおすすめ致します。