胸郭出口症候群のリハビリ

胸郭出口症候群のリハビリ/改善から再発防止までの3ステップ

痛みやしびれが辛く、また長引いてしまうのが胸郭出口症候群の特徴です。しかし正しい対応をすれば胸郭出口症候群は良くなるものですし、現に当整体では沢山の胸郭出口症候群を改善しております。

あなたも薬を飲んで安静にしていても一向に良くならず、何とかしようを調べてここに辿り着いたのではないでしょうか。

ここでは胸郭出口症候群の特徴を説明し、その原因を改善するためのリハビリ3ステップをご紹介していくので、ぜひあなたの胸郭出口症候群改善の道しるべにして下さいね。

1.リハビリの前に「胸郭出口症候群」とは

1-1.「胸郭出口」とは

胸郭出口胸郭出口症候群とは字のごとく「胸郭出口」において神経や血管が障害されたために起こるしびれや痛みです。この胸郭出口というのものがどこかをイメージしてもらう事が改善への第一歩です。

まず「胸郭」とは胸をグルリと囲む「肋骨でできたカゴ」の事で、胸部の全体像の事です。「出口」とはこの胸郭の上端のことなので、「胸と肩の境目」の事を指します。すなわち鎖骨周辺がこの「胸郭出口」という意味です。

この鎖骨周辺において「指先へと向かう神経や血管が、圧迫(もしくは牽引)される」ために起こるしびれや痛みの事を「胸郭出口症候群」と言います。その症状については「胸郭出口症候群の10症状/シビレから頭痛やめまいまで」をどうぞ。

1-2.「神経障害」ポイントは4つ

神経・血管を障害しているポイントは以下の4つあり、その総称が「胸郭出口症候群」と呼ばれます。

  • 斜角筋症候群=「首を支える前側の筋肉」の間で神経が圧迫される
  • 小胸筋症候群=「胸と肩をつなぐ筋肉」を通る時に神経が圧迫される
  • 肋鎖症候群=「1番上の肋骨と鎖骨との間」で神経が圧迫される
  • 頸肋症候群=「頸椎に本来無いはずの小さな肋骨がある場合」そこで圧迫される

1-3.全ては「身体の前側」で起こる

骨格による胸郭出口症候群上記の頚肋症候群だけは先天的な骨格によるものなので別ですが(まれにしか起こらない)、他の3つのものを見て下さい。

斜角筋は「首の前側の筋肉」、小胸筋は鎖骨の端辺りにある「胸と肩を繋ぐ筋肉」、肋鎖とは「肋骨と鎖骨の間」。つまり全て「身体の前側」で起こっています。前側が詰まることで神経・血管を圧迫するのです。

ここでイメージして欲しいのは「うつむき作業」が多かったり「猫背」の人は「顔や肩が前に出ている」という事です。これでは鎖骨周辺が常に詰まって圧迫され、縮んだままの筋肉が固くなって中を通る神経・血管が圧迫されます。

もちろんスポーツによってこの辺りを縮める動作の繰り返しでも起こりますし、なで肩によって神経が牽引される事でも起こりますが、多いのは断トツでこの「普段の体勢」によるものだと感じています。原因について詳しくは「胸郭出口症候群『本当の原因』はこの4つ」をどうぞ。

2.ここでいう「リハビリ」とは

リハビリ病院では胸郭出口症候群と診断されても痛み止めを飲みながら安静にしておくか、牽引・温熱・運動などの治療を少しばかり行いながら「様子を見ましょう」と言われるだけだったのでは‥。もちろんそれで楽になる人も居るかもしれません。

しかし実際には良くならない場合が多いから、当整体にも助けを求めて沢山の人が来られますし、あなたも「何とかしなきゃ」と検索してこのページに辿り着いたのではないでしょうか。

先ほど説明したように多くの胸郭出口症候群の原因は「不良姿勢」などによる「前側の詰まり」でした。

ここでいうリハビリとはその「不良姿勢」にアプローチしながら「筋肉の縮み」も無くしていくことで胸郭出口症候群を改善し、またその後も継続する事で再発予防にまで目を向けたものです。

3.胸郭出口症候群に有効な「リハビリ」

3-1.腹式呼吸

(1)斜角筋・小胸筋で呼吸を頑張ると‥

はじめに説明した神経圧迫ポイントの「斜角筋・小胸筋」はどちらも「呼吸を補助する筋肉」です。

「で?」と言われそうですがこれが大事。

呼吸は本来、肺とお腹を区切っている「横隔膜」が上下する事で、肺が膨らんだり縮んだりして行われます。ところが猫背やうつむき姿勢が続くとお腹も上から潰されてしまうので、横隔膜を使った腹式呼吸が上手くできなくなります。

すると浅い呼吸になり、それでも何とか息を吸おうとして本来は補助するだけの小さな「首・胸の筋肉」を使って胸郭を膨らませ始めるのです。

「首・胸の小さな筋肉が大きな胸郭を引き上げる」これを聞くだけでも大変そうですが、さらに呼吸は毎日毎日常に行う作業なので、これでは疲労が溜まって硬く縮んでしまうのも納得ではないでしょうか。

(2)腹式呼吸のやり方

きちんと行うには説明に少し時間が掛かるのでここでは簡単にお話しします。詳しくは「『腹式呼吸のやり方』3ステップと効果的な方法」に記してあります。

まずは息を吐き切る事を意識しましょう。普段の呼吸では吐いた後もまだまだ肺に空気が残っていますが、これをゆっくり口(鼻でもOK)から漏れるように吐き切ってください。

すると肋骨が下がり、お腹が凹んできますよね。これで普段使っていなかったお腹の奥の筋肉が働き始めます。

そして吐き切ったあとは自然にたっぷりと息が吸えます。この時も肩で吸うのではなく、凹んだお腹がそのまま膨らんでくるようにしてください。こうすれば動いていなかった横隔膜が上下にきちんと動き出します。

この時の注意点が2つ。猫背ではうまく呼吸できないので「骨盤を立てる事」と「吸う時に肩が動かない事」です。はじめはどうしても肩で吸う癖が残っているので難しいかもしれません。しかしきちんと腹式呼吸ができるようになると、それだけで胸郭出口症候群の症状が和らぐ人もいるので、ぜひ取り組んでみて下さいね。

3-2.ストレッチ

胸郭出口症候群のストレッチこのストレッチについても、イメージして頂くのは「前側を緩める」という事です。

そうは言っても皆さんがよく行うストレッチは、肩の後ろや背中といった「身体の後ろ側」をやりがちですよね。ストレッチ方法は「胸郭出口症候群ストレッチ/筋肉と姿勢を変える4つの方法」に記してあるのでしっかり読んでから行ってください。

そしてここでも先ほどの「呼吸」をしっかり意識しなくてはいけません。よくやりがちな「息を止めてからグーッと伸ばすストレッチ」では、筋肉も神経も緊張したまま無理矢理伸ばされるので緩みにくく、また痛めてしまう事もあります。かならず呼吸しながらゆったりと行ってくださいね。

3-3.姿勢を見つめ直す

猫背解消(1)「呼吸」と「ストレッチ」をマスターしたあなたなら

今までは「姿勢が悪い」と分かってはいても、背筋を伸ばそうとするとしんどくて「諦めた経験」はあなたにもありますよね。

それは姿勢を支える筋肉が弱っているのももちろんありますが、まず「長時間の不良姿勢」によってカラダが歪み、身体を丸くすくめるように筋肉も縮んでいたからです。肩・胸・首の前側だけでなく、お腹の深層筋なども硬く縮んでいます。前側に加えて「身体の中」まで縮んでいたら、頑張って身体を起こそうと思っても起きませんよね‥。

しかし「腹式呼吸」によってお腹の深層筋が働き出したあなたは身体の中の縮みが解消され、首・胸の筋肉もフリーになる事ができました。さらに「ストレッチ」によって前側の筋肉が緩みます。

簡単ではありませんがこの二つをきちんと行えるようになった時のあなたには、「姿勢を正すための障害」が少なくなっているはずです。

(2)「正しい姿勢」とは

頑張って「背中を反らす」「胸を張る」のは良い姿勢ではありません。もちろんこれは見た目の話ではないですよ。

では何が良い姿勢なのかというと答えは簡単です。なぜなら腹式呼吸を習得したあなたならばもうほとんど出来るはずですから。

まずイスに腰掛けて骨盤を立てるところから始めたいのですが、初めは頑張って腰を反らせ過ぎる事にもなり兼ねません。まずは「お尻をイスの奥深く」まで入れて骨盤を立たせたうえで、お尻から背中までベタッと背もたれに着けて座ってください。これで腰が立って背中は真っすぐなはずです。

ここで腹式呼吸でやったように息を吐き切ってくると、お腹が凹んで肋骨が下がってきます。このまま肩の力を抜いてストンと下に落としてみて下さい。これで出来上がりです。

このまま息を吸う時も「胸を反らしたり」「肩を上げたり」は絶対にしないで、お腹が膨らむように吸いましょう。

このように身体に負担の少ない「良い姿勢」とは、反ったりしてガチッと固めた姿勢ではありません。呼吸によって体幹の筋肉がたえず動いていて、その代わり首・肩・胸の筋肉はフリーになれる姿勢なのです。

これで胸郭出口症候群の原因となっていた前側の詰まりや縮みはかなり解消されます。

3-4.トレーニング

トレーニングトレーニングについては実はあまりおすすめできません。なぜなら実際に見ながら指導できないトレーニングは「もろ刃の剣」になるからです。

この動作は「どこの筋肉に力を入れて」動かしているのかをイメージする事も必要ですし、フォームも大変重要です。下手をすると無駄に力んでしまうため、せっかく力が抜けて緩んだ首・肩・胸の筋肉がまた硬くなってしまうおそれもあるという事です。

もちろん当整体では簡単なトレーニングをお伝えしていますが、ここでは控えさせて頂きます。

しかし上記の3つの方法をきちんと出来るようになれば、かなり胸郭出口症候群は楽になっていくはずです。

4.「胸郭出口症候群のリハビリ」まとめ

上で解説した3つの方法を実践しキチンと行えるようになれば、胸郭出口症候群は少しずつ改善していくはずです。ただしすぐにキチンと出来るようになる訳ではないですよね。

そんな中しびれや痛みがひどくて早く何とかしたい人や、自分で頑張るよりも何とかして欲しい人もいると思います。

そんな場合は治療院や整体といったカラダのプロに任せるのも一つの方法です。ただしこれも「しっかりと改善できる技術」を持った所を見つけるのはなかなか大変な事かもしれません。

どちらにしても簡単ではないのなら、まずは自分で本気で取り組んでみてはいかがでしょうか。そのうえで良くならなければ、本気で改善してくれるプロを探す。その時は「胸郭出口症候群『一般的な5つの治療』と『根本からの改善方法』」を参考にしてみて下さい。

これを読んだあなたの胸郭出口症候群が少しでも良い方向に向かう事を願っております。

※当記事は私見であり医学的根拠を保証するものではありません。情報活用は自己責任にてお願いし、胸郭出口症候群を疑った場合はまず医療機関を受診されることをお勧めします。

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