「胸郭出口症候群と診断されて治療に通っているけれどなかなか治らない‥」
そんな悩みを抱えたまま苦しんでいる人が沢山いますが、なかなか治らない理由は「根本から改善できていない」からです。
もちろんストレッチだけで根本改善できる訳ではありませんが、コツコツやれば改善に向けて有効な武器にはなってくれます。
ここではまず「胸郭出口症候群とは何か・胸郭出口症候群になる原因」を簡単に知って頂いた上で、それを改善するために「ストレッチが有効な理由」から「おすすめのストレッチ方法」まで解説していくので参考にしてみて下さいね。
1.ストレッチの前に「胸郭出口症候群」を知ろう
他のページを読んで胸郭出口症候群について理解した人はここを飛ばしても大丈夫ですが、そうでない人は「ストレッチが有効な理由」を理解するために簡単に目を通してください。
1-1.胸郭出口症候群とは
- 小胸筋症候群=「肩と胸を繋ぐ筋肉」を通る所で神経が圧迫される
- 斜角筋症候群=「首を支える筋肉」に挟まれた所で神経が圧迫される
- 肋鎖症候群=「第1肋骨と鎖骨の間」で神経が圧迫される
- 頚肋症候群=「頸椎から本来は無いはずの小さな肋骨が生えている場合」そこで圧迫される
以上の部分で神経が圧迫(もしくは牽引)されるために、そこから指先まで繋がる神経に痛みやしびれが現れます。しかし「症候群」という言葉にはそもそも「原因がハッキリしないもの」という意味が込められていて、この4つを総称して胸郭出口症候群を呼ばれます。
1-2.胸郭出口症候群の「原因」
上記4つのポイントで神経が障害される事で痛みやしびれが現れると説明しましたが、まだそれは神経が障害されている「状況」が分かっただけです。
「原因」とは「そんな状況になった理由」ですよね。このあたりが「症候群(原因がハッキリしないもの)」と呼ばれる所以ですが、「胸郭出口症候群『本当の原因』はこの4つ」にて原因を詳しく解説してあるので一度目を通されると良いかもしれませんね。
簡単にいうと「カラダの歪み」が原因の大部分を占めます。姿勢不良や骨格のズレがある、または常に身体が傾いたり、よく斜めを向いているという人は筋肉も過緊張を起こします。
例えば「猫背の人」は顔も肩も前に出るので「鎖骨周辺」が狭くなるイメージはできますよね?
これでは神経・血管の通り道も狭くなり、筋肉も縮んで硬くなるのでその中を通る神経も圧迫されます。大雑把ではありますが、このようにして胸郭出口症候群になりやすい状況が出来上がっていきます。
2.胸郭出口症候群にストレッチが「有効な理由」
2-1.ストレッチの効果
最初に言いますが、ストレッチだけで治るほど胸郭出口症候群は簡単ではありません。それでもストレッチを続ける事で「筋肉」が緩み、悪影響を与えていた「姿勢」も変わるのです。
この時意識して欲しいのは「首」や「胸」「肩」などの「前側を緩める」というイメージを持ってください。
胸郭出口症候群になる多くの人は「猫背」のように顔と肩が前に出る姿勢が多いのです。これでは後ろ側は伸ばされる反面、前側が縮んで窮屈になるので、ストレッチで狙うべきは「この前側の縮んだ筋肉」という事ですね。
そうやって「前側の縮み」を解消してあげれば、神経・血管を圧迫していた鎖骨周辺も緩んでいきます。これで痛みやしびれが少しずつ軽減されると共に、原因となっていた姿勢も意識しやすくなるのです。
2-2.ストレッチの注意点
ストレッチを効果的に行うための注意点が一つありますが、それは「呼吸を止めない」という事です。
よく「息を止めてグ~っと伸ばす」のが正解だと思っている人がいますが、それでは緊張している筋肉を更に緊張させる事になります。そうやって緊張させたまま無理に伸ばされた筋肉や神経は緩みにくいのはもちろん、逆に痛めてしまう事もあるのです。
ストレッチを行う時は呼吸を止めないで「ゆったりとした呼吸」を心掛けてくださいね。
3.胸郭出口症候群ストレッチ4つの方法
3-1.背骨を伸ばすストレッチ
- スタート姿勢=仰向けに寝た状態で、背中(みぞおちの裏辺り)にバスタオルを丸めて棒状にしたものを置く(身長に対してタオルが横向きになるように)
- 両手を握って手を伸ばし、そのまま頭上方向に挙げていく(拳がカラダから遠くを通るような軌道で)
そうすると丸くなっていた背骨が伸びて、縮んでいた胸の辺りが開く感覚が分かります。基本はこの頭上に手を伸ばした伸ばしたまま10秒~20秒をキープを3セットくらい行いましょう。
またはゆっくりとした呼吸に合わせて「吸った時に頭上に伸ばし・吐くときに戻す」と一回一回呼吸に合わせて運動させるのもいいでしょう。どちらにせよ決して無理矢理ではなく、上がる所までにして下さいね。
特に背中が丸く固まっている人は手が頭上まで上がらないかもしれませんが無理をしないでください。そんな時はタオルの高さを低くしたり、置く位置を少しお腹側に下げると腕が上がりやすくなるので、無理せずできるように工夫してみて下さいね。
3-2.胸・肩を開くストレッチ
- スタート姿勢=横向きに寝た状態で、天井側の膝を曲げて前に出す(股関節90度・膝90度)・両腕は前に伸ばして両手を合わせる
- そこから胸・肩を開くように、天井側の手をカラダの後方に持っていく
- この時自分の胴体が軸になり、腕は伸ばしたままカラダから遠くを通るように後方へ
- 視線は手の平の動きに合わせて、顔の向きが手の動きに着いていくように後方を向く
先ほどは丸く縮んだカラダを縦方向に開きましたが、これは横方向に捻るようにしてカラダを開きていきます。これも伸びた所でゆったり呼吸をしながらキープでも良いですし、呼吸に合わせて繰り返すのもOKです。
この二つで下準備完了です。まずは丸く縮んだカラダを大きくストレッチする事で、不良姿勢の元になっていた前側全体の縮みを解消しました。
3-3.斜角筋を緩めるストレッチ
今度は斜角筋症候群という名前の由来にもなっている「斜角筋」を緩めます。とはいえ筋肉やカラダは全身で繋がっているので、必ず先に説明した全体を緩めるストレッチも行ってください。
- 先ほどの寝て行うストレッチの続きならば、あお向けになる
- 右の斜角筋を緩めたいならば、右手を腰の裏に滑り込ませてから首を左に傾けていく
これで首から鎖骨にかけて伸びる感じがあれば斜角筋が伸びています。顔の向きを変えたり、傾ける角度を変えると伸びる場所が変わるので少しずつ変化させてみて下さい。これも決して呼吸を止めないでゆったりと行うように。特に症状の強い人は痛みが出る場合もあるので、その場合は行わないようにして下さい。
- 座って行う場合はイスに腰掛ける(お尻を奥まで入れて、背中が丸まらないように)
- あとは寝た状態と同じ要領
- 伸ばしたいほうの手をお尻の後ろに回し、反対に首を倒していく
3-4.小胸筋を緩めるストレッチ
これも「小胸筋症候群」という名前の由来になるくらいに悪さをする筋肉です。
- 壁の前に横を向いて立つ(伸ばしたい側の肩を壁に向ける)
- 手を上げていき、肩と同じ高さに肘が来るようにする(肘~手までを縦に立てて壁にベタッと着ける)
- そのまま胸が伸びるようにカラダを反対方法に捻っていく
これで胸の奥が伸びていれば小胸筋が緩んできます。このストレッチは柱や掴まる所があれば、壁でなくてもできます。「肘を曲げて、肩の高さまで手を上げる」このポジションになるように意識して下さいね。
4.「胸郭出口症候群ストレッチ」まとめ
ストレッチだけで根本改善が難しいのは事実ですが、いくつか治療の一つとしてコツコツやっていけば改善に向けた有効策になります。「胸郭出口症候群のリハビリ/改善から再発防止までの3ステップ」
そんな悠長な事を言っていられないくらいの痛みやしびれに悩まされている人は「胸郭出口症候群『一般的な5つの治療』と『根本からの改善方法』」を参考にしてみて下さい。
姿勢が変わって顔・首や肩の位置が変わってこなければ胸郭出口症候群は根本改善しないといっても過言ではありません。
ただ筋肉を伸ばすだけでなく、縮んでいる前側を緩める事で姿勢も変えるんだという意識で行い、ぜひ痛みやしびれの無い毎日を取り戻して下さいね。
※当記事は私見であり、医学的根拠を保証するものではありませんので、情報の活用は自己責任にてお願い致します。